死後事務委任契約とは 2023年8月15日 最終更新日時 : 2024年8月12日 sien2022 近年、少子高齢化と核家族化が進み、お子さんが遠方で暮らしている方や、独身のおひとり様が増えています。死後事務委任契約は、そのような状況の中で年々需要が高まっている契約です。ご自身が亡くなった後に希望する葬儀や埋葬方法を叶えるため、死後事務委任契約を検討してみてはいかがでしょうか。 死後事務委任契約でできること 人がなくなると、葬儀を始めとして、亡くなるまでにかかった医療費や公共料金の支払い、年金受給の停止など様々な手続きをする必要がでてきます。これらの事務手続きを死後の事務と呼び、通常は亡くなった人の親族が行ないます。しかし、身寄りがなかったり、あっても疎遠だったりした場合には、それらの手続きをする人がいません。このような場合の手続きを行う人と内容について事前に決めておく契約が「死後事務委任契約」です。 死後事務委任契約でできること □ 病院からの遺体の引き取り□ 葬儀の際の喪主代行□ 火葬や納骨の手配□ 遺品整理/退去手続き□ 入居施設や病院への支払い□ 健康保険証などの返還□ 未払い税金の支払い□ 公共料金の解約・清算 死後事務委任契約を利用すべき人 死後事務委任契約は、ご家族がいない人や、いても疎遠で頼れない人、又は、周りの人にできるだけ迷惑や負担をかけたくないと考える人が、利用されるとよいでしょう。また、自身が望む葬送がある場合でも、この制度を利用した方がよいでしょう。生前に望んでいた葬送を、親族が必ずしも採用してくれるとは限りません。死後事務委任契約を交わしておけば、望みを叶えられるでしょう。 遺言書との関係 遺言書を利用すればよいのではないか、と考える方がいるかもしれませんが、死後の事務(お葬式や埋葬等)については遺言書に記載したとしても法律上の効力がなく、実際的ではないのです。遺言書が強制力をもつのは財産価値のあるものについてです。死後の事務(お葬式や埋葬等)については、しっかりと死後事務委任契約に記しておくことで、自分が望む葬儀や埋葬を実現することができるのです。 死後事務委任契約に関するQ&A Q.成年後見人は死後事務をやってくれるのでしょうか? 基本的に葬儀や埋葬の手続きは後見人の仕事ではありません。任意後見契約の際に一緒に死後事務委任契約を結んでいれば行ってくれますが、一般的な法定後見人のような場合、被後見人(認知症の方や障がい者の方のように後見人がついてサポートされる方)の方が亡くなった時点で成年後見業務は終了となります。 Q.身寄りがなくても市町村や国が何とかしてくれるのでは? 確かに、身寄りの無い方のように誰も故人の死後事務を行わないような場合は市町村にて火葬等は行ってくれます。しかし、遺体を放置する訳にはいかないので最低限行われることであり、遺品整理や家屋の明け渡し、未払い費用の清算などは一切行ってはくれません。事前に準備をしておかないと大家さんやこれまでお世話になった方々へ多大な迷惑を掛けてしまうことになります。 Q.死後事務委任契約ではどこまでお願いできるのでしょうか? 基本的に委任内容は自由ですので希望する内容は反社会的な行為を除いて依頼可能です。ただし、依頼者本人や依頼者の家族でしか行えない、医療行為への同意などについては行えません。それは成年後見人であっても出来ないものになります。その場合は尊厳死宣言公正証書を合わせて準備するとよいでしょう。 死後事務委任契約は、基本的に相続人がいない場合に検討するべきものです。さらに遺言書、任意後見契約等を組み合わせることで、たとえ、高齢のおひとり暮らしであっても「老いる」ことによるリスクをかなり低減させることができるでしょう。 当法人では、死後事務委任契約をもとに亡くなれた後のお墓や埋葬のお手伝いをいたします。ご心配のある方は当法人にぜひご相談ください。